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coldrain

 そして後攻でステージに立ったcoldrain。ひとりずつ順にステージに登壇し、最後にMasato(Vo.)がステージ中央に立った瞬間に巨大なコーラスが鳴り響いた。オープニングは 『REVOLUTION』だ。<Oh Oh>のシンガロングに始まり、サビではさらにテンポをダウンして感情の沸点を“落とす”ことで表現する。さらにトラップパートへとシームレスに接続する展開は、どこまでも個のエモーションと葛藤と厭世感を吐き出し己を浄化していこうとするcoldrainの本質を全部盛りしたような1曲だ。そこから伝わってきたこと――たとえば彼らが掲げてきた「ラウドロック」という言葉は、日本のシーンにおいて様々なバンドを一括りにするラヴェルとして用いられた時期も長かった。しかし音の跳躍と没落が激しく繰り返される楽曲が表すのは、生きていくことの喜びと絶望を行き来する心の摩擦、生きたいと死にたいが全く同じ心の中にある人間の割り切れなさを「心の喧騒」のまま吐き出していこうとする姿勢だ。美しいメロディが貫かれながらも、実際の楽曲としてはとにかく起伏が激しい。そんな『FEED THE FIRE』が表すように、誰とも共有できぬ希望と混沌の行き来をそのまま吐き出すことのできる音楽がロックであり、彼らのラウドさなのだと実感するライヴである。特に、美しいメロディ、空間を徹底的に切り裂く叫びをクルクルと行き来するMasatoのヴォーカルが、「歌」というよりも人間拡声器のようなデカさをもって響き渡ってくる。5音が重なった瞬間のスケール感をさらに飛び越えるように、歌も叫びも人に向かって一直線に突き刺さる。演奏の撚られ方、音と歌が呼応する気持ちよさ。グングンと音のスピード感が増していく。

 一方、その中で親しみやすさを感じさせるのもcoldrainのライヴのいいところ。『Die tomorrow』ではMasatoがSugi(Gt,Cho)にマイクを預けて絶叫させる一幕があったのだが、マイクが顔に近すぎてSugiがまったく叫べず、Masatoに「馬鹿野郎」と言わんばかりにキックをお見舞い。徹底的にソリッドなサウンドは日常とかけ離れたスケール感を湛えているが、その実は、上記したようにどこまでも人間臭い生き様そのもの。その中にある愛嬌や穏やかな表情もごく自然に解放できるようになってきたことが、ここ数年のcoldrainのライヴからは感じられる。たとえば『ENVY』の瞬発力あるメロディも、『FATELESS』というアルバムにおいてバンド全員がMasatoの歌をさらに飛ばすための方法とサウンドを模索したことから生まれたものだ。ライヴも同様で、バンド5人それぞれが一点に向かって爆走して、歌って、時折笑顔を見せてお互いの心の目を合わせる気持ちよさに満ちている。

 「(LIVE HOLICは今回で)23回目らしいです。coldrain呼ぶのに23回もかかるのかっていう。Age Factory、この前エイスケと出会って10秒くらいで2ショットの撮影させられて、5分くらいで対談させられて。そんなんできねえよっていう(笑)。あいつも変わってるじゃん。でも、音楽が心に響きました。ああいう声に生まれたかった。ああやって魂を削って音楽をやってるところが素晴らしいし、ジェラシーを感じてます。久々にヤバい後輩が出てきたなって」

 Age Facoryへの敬意を語り、この日の意義を改めて示したMasato。彼が語った出会いの「雑さ」にも関わらず、全身全霊のライヴ一発で両者の間には距離はもうない。徹底的にラウドな音の交感で、ロックのカタルシスだけを高く高く昇らせていく空間が出来上がっている。

「バンドマンを信じられない空気感になってきたけど、関係ねえんだよ。ステージに立ってようが、立っていなかろうが、同じ人間です。裏切っちゃいけない。やってたことがちょっとした間違いで崩れることも実感しました。ステージの高さがあっても、それに慣れちゃいけない。どうか、今日みたいなライヴは当たり前じゃないって思ってください」(Masato)


今この一瞬に何を愛し、何と闘って歌うのか。大げさな言葉に聴こえるかもしれないが、ロックバンドはいつだってそのことに向き合って叫び、転がっていく。そのことを自分自身で確認するような言葉でもあったのだろう。さらに5人はライヴのギアを上げ、『INSIDE OF ME』、『F.T.T.T』では2ビートを連打し、ピットに巨大なサークルが発生する。

たとえばcoldrainが登場した2000年代初頭は、ラウドミュージックと言えばメロディックパンクがライヴハウスを席巻していた。その中で、海外のポストハードコアと共鳴し、ライヴハウスシーンにおいてもオルタナティヴだった彼らの世代が生き抜くために消化したのであろう2ビートが、今や日本のラウドミュージックの試行錯誤と闘争の歴史をそのまま伝えるようですらある。さらに前のMCでMasatoが「ヤバい後輩」と触れたように、日本のメインストリームや、画一化と同調の様相を呈するようになった日本のロックシーンに対するカウンターとしても位置付けられるAge Factoryまでもが、この爆音の中でひとつの線になっていくような感覚を覚える。ただ安穏と生きていられる国ではなくなった日本の中で、ただただ己を己のまま貫くための闘争がそれぞれの形で表現されている2マンライヴなのだ。本編ラストに鳴らされた『THE REVELATION』で、Masatoは「生きろ!」と叫んだ。Age Factoryの清水エイスケは<孤独であれ>と歌い、「行け!」と叫んだ。ただ真っ直ぐに、自分の思う自分のままで生きたい。自分の愛するものを愛して、優しくありたい。そんな願いを貫こうとするほど世界の悪意や現実は壁となって立ちはだかる。己の人生を誇り高く掲げるために、世界の喧騒よりも激しく「黙れ」と叫ぶしかない心模様が、この2バンドの音楽に通底するものだ。騒ぐ、楽しむ。それももちろんライヴという場所で許されること。しかしこの2バンドの音の中にあったのはそれ以上の、ロックバンドで鳴らす必然性と切実さそのものだった。


スペースシャワーTVではこのライブの模様を9月20日(金)22:00より60分の特別番組として放送するのでお見逃しなく。


Text:矢島大地

Photo:AZUSA TAKADA

オンエア情報

スペースシャワーTV

uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC vol.23 coldrain×Age Factory
2019月9月20日(金)22:00~23:00 他
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