
これまで「チュートリアルの徳ダネ福キタル♪ SPECIAL LIVE」に出演したアーティストと、これからもっと「チュートリアルの徳ダネ福キタル♪」の番組やイベントでご一緒したいアーティストを“つなぐ”イベント、「TOKUFUKU LIVE Connect!」の第4弾が、2月13日(水)に大阪・なんばHatchで開催される。今回の組み合わせは、2011年にメジャー・デビューし、演奏しながら歌って踊るダンスロックバンド DISH//と、グッドメロディとラップ、熱いリリックが幅広いリスナーを獲得しているベリーグッドマン。今回が初共演であり、ライブのスタイルも年齢もまったく違う異種格闘技的なツーマンだが、このインタビューでは初顔合わせにしていい会話のグルーヴが生まれていたので、ライブ当日も乞うご期待だ。
──まさに今日が初対面だそうですが、会ってみてのお互いの印象はどうですか。
MOCA(ベリーグッドマン):いやあ、イケメンやなと。
Rover(ベリーグッドマン):イケメンやし、若いですから。僕ら30歳の年ですから、もうちょっとしたら一回り違いますからね。世代を超えてのインタビューですね。
──はい、いい感じに噛み合うといいなと思います(笑)。お互いの音楽は聴いたことはありますか。
Rover:もちろん。DISH//はバンドなので、僕たちとは違うジャンルやスタイルなんですけど、音楽に対する姿勢や勢いはちょっと似てるのかなと思っていて。音楽が好きでがむしゃらにやってるっていう。これだけいい空気感があるしイケメンなのに、泥臭くやってる感じがかっこいいなと思いますね。
北村匠海(DISH//):ありがとうございます。僕が初めてベリーグッドマンさんを拝見したのは、カラオケの映像で、ベリーグッドマンさんの曲が流れていてたんですよね。それで初めて聴いて、素敵だなと思ったんです。僕らの曲もポジティヴな曲が多いんですけど、そういうグループとしての空気みたいなものが、もしかしたら近いのかなって思っていて。
Rover:嬉しいですね。
北村:今回、対バンするって決まったとき、明るく楽しい、そしてすごく前向きないいライブになりそうだなって思ったんです。
橘柊生(DISH//):僕は個人的に「おかん〜yet〜」が好きです。聴きながら、涙してます。「おかん〜yet〜」の歌詞で、おかんがライブを見にきて、遠くから手を振っていて。その小さい手を見て頑張ろうと思ったっていうのが、すごく響いて、いいなって思いました。
Rover:マジですか、嬉しい。ちなみに実際、母親のことを“おかん”っていうタイプですか。
橘:違います。
Rover:なんて呼んでるんですか。
橘:普通に、“母”とか“まあ”って言ってます(笑)。
Rover:珍しいタイプやったな(笑)。
MOCA:うちのおかんが喜ぶんで、電話代わってもらっていいですか?
Rover:今、インタビュー中や。
北村:僕は「ファンファーレ」で応援してもらってる感じです。
Rover:嬉しいですね、次々と曲が出てきますね。
MOCA:泉は?
Rover:年齢は後輩やけども、 DISH//の方が芸歴は先輩やからな。
泉大智(DISH//):いやいや(笑)。僕らはバンドですけど、ベリーグッドマンさんは、“歌で魅せる”っていう技術が本当にすごいなって思いますね。
Rover:今日は来てないんですが、メンバーのHiDEXはドラムをずっとやっていたんですよ。中高から、大学の年までやっていて。なんか、泉くんと波長が似てるというかね。
MOCA:うん、似てますね。
北村:彼は、今猫かぶってますけど──。
泉:いやいやいや。
Rover:(笑)。ドラムは何年やってるんですか。
泉:本格的にやりはじめたのは、中学3年の終わりくらいですね。全然まだまだです。
MOCA:ところでメンバー内で、北村くんが土屋太鳳さんとユニットやってたのはムカついたりしないの(映画『春待つ僕ら』時に結成したユニット、TAOTAK)? なんでお前だけっていうのはないんですか?
北村:はははは(笑)。
橘:いえいえ、いいじゃんいいじゃん!っていう感じでしたね。
MOCA:僕だったら嫉妬しちゃいますね。DISH//でやろうぜってなっちゃいますよね。器ちっちゃいから。
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──ここからはお互いについていろいろと探っていこうと思います。まずは、ベリーグッドマンは、先ほどあがった「おかん〜yet〜」もそうですが、リアリティのある歌詞やポジティヴなメッセージのある曲も多いと思うんですが、普段はどんなふうに曲を作っているんですか。
Rover:3人で作るので、パターンはいろいろあるんですけど。誰かがサビのかけらを持ってきて、それを広げたりとか。あとは、トラックメイカーのHiDEXがプログラミングしたものを聴いて、自分が歌う部分をそれぞれ作ってきたりとかもしますね。そういえば去年のクリスマスの日とかにも、MOCAがLINEで歌詞送ってきましたね。しかも、“お前にはもううんざりだぜ”みたいな曲なんですよ。
北村・橘・泉:はははは(笑)。
Rover:どんなメッセージ?と思って。僕に対しての当てつけかなと思って。
MOCA:ほんまに覚えてない(笑)。
Rover:まあ、それくらい自発的につねに曲作りはしていますね。
──作るときに、あらかじめ何かテーマは決めるんですか。
Rover:大まかにアッパーチューンなのか、ラブソングなのか、メッセージソングなのかとかを決めて。あとは、ラブソングだったら、遠距離恋愛なのか、今一緒に住んでいるのかとか、彼はとくに不倫の曲ばっかり──。
MOCA:誰がや!
Rover:とかばかり考えてるんですけどね(笑)。
──DISH//の曲作りはどんな感じですか。
北村:僕らの場合は、自分らで作った曲もあるし、提供していただける曲も多いので、曲の振れ幅がすごく大きいんですよ。それもDISH//の魅力だなと思うし。自分たちで作る曲は、荒削りなんですけど、ガシガシ進んでいく若さのある感じがあって。大智は後から加入して、今入って2年目くらいなんですけど、過去にメンバーで作った曲をすごく好きだって言ってくれたりするので。そういう自分たちの曲のエネルギーみたいなものを、また最近になって感じられてもいますね。
──メンバーで作る曲はどんなふうに?
北村:各々で好きな曲のジャンルが全然違うんです。柊生がひとりで作る曲なんかは、ミディアム・ヒップホップみたいなのだったり。みんなで集まって作るときは、当時まだパソコンもいじれなかったので、僕らがやったことを形にしてくれる人がひとりいて。それこそセッションみたいな感じで作っていって、形にしていましたね。
Rover:いいですね、かっこいいなあ。
MOCA:それで印税は4等分?
Rover:グッズのパーセンテージはどんな感じ?
──生臭い話はそれくらいで(笑)。
MOCA:でもほんといろんな曲があって、“器”が大きいですよね。バンド名のDISH//ってやっぱりそういう意味なんですか?
橘:DISH、皿だけに。
Rover:いろいろ盛り付けていくぜみたいな。
北村:そうですね(笑)。このバンドが結成したのが、僕が中学2年生の時だったんですけど。“今日からお前らは、ダンスロックバンド、DISH//だ”って言われて。最初は本当に訳がわからなかったんです。でも段々と後付けのようにDISH//という名前の意味合いが、みなさんのメインディッシュにであるとか、アルバム名に食べ物とかをくっつけたりとか広がっていって。ライブ中に紙皿を2千枚くらい投げたりもしていて。
MOCA:マジすか!
Rover:でも、CDのこと皿って言いますしね。
北村:そうですね(笑)。
Rover:“皿”っていう漢字は、歯を食いしばってる感じもしますしね。
北村・橘・泉:はははは(笑)。
MOCA:後付けの帝王か!
──(笑)。DISH//としてはそういう始まりから、活動の中でDISH//っていうバンドを作り上げてきた感じですかね。
北村:そうですね、いろんなことが変化していって今があります。
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──ちなみにそれぞれ音楽のルーツが違うということですが、どんな音楽が好きなんですか。
泉:僕は昔の洋楽が好きで、よく聴いてますね。最近は、匠海とか柊生とかの好きな曲を聴いて、こういうジャンルもあるんだなっていうのも勉強してます。お互いの情報を出し合ってというのが多いですね。
北村:僕は結構、幅広いですね。高校時代はくるりとかandymoriとかを聴いていて。でも、ダンスミュージックやテクノも聴きますし、インスト系も聴くし、柊生から教えてもらったヒップホップも聴くしと、いろいろですね。
──橘さんは、ヒップホップの入り口はなんだったんですか。
橘:僕はもともとダンスをやっていて、小学生のときに最初に買ったCDがクリス・ブラウンでした。
Rover:MOCAなんて小学生のときは慎吾ママですよ?
MOCA:なんで言うねん! クリス・ブラウンの後に「慎吾ママのおはロック」って。
──(笑)。RoverさんとMOCAさんはどんな音楽ルーツなんですか。
Rover:僕は、4、5歳のとき今は亡き父親の影響でザ・ベンチャーズを聴いてまして。そこからの流れで、小学校4、5年生でザ・ビートルズを聴くようになって。でも小学校1年生で初めて買ったCDは、サザンオールスターズの「太陽は罪な奴」っていうので、まだ短冊形のCDでしたね。それがルーツといえば、ルーツですね。
──歌ものっていう感じですね。MOCAさんは、「慎吾ママのおはロック」後はどんな経緯を?
MOCA:僕は「慎吾ママのおはロック」から入りまして、J-HIP HOPみたいのにも入っていったんですけど、自分も好きじゃないような曲を聴くのが好きで、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとか、これを聴くのがいけてるみたいな感覚を経て、レゲエに出会いましたね。そこからはヒップホップよりも、コード感があって、ユルい系のレゲエが好きになりました。
──まったくバックボーンの違うふたりですが、ベリーグッドマンは音楽性やスタイルとしてどういうものにしようっていうのがあったんですか。
Rover:それを思い返すと、最初の1、2年は大変でしたね。
MOCA:1曲目に作ったのが、「コンパス」という曲なんですけど。僕たち3人の共通の尊敬するアーティストがDef Techだったので、日本語と英語を織り交ぜていこうかとか、アシッドジャズとかジャズヒップホップみたいなところを攻めていこうか、みたいなところからはじめたんですけど。気がつけば、めっちゃポップな感じになっていて。ファンの人とかから求められているものと、自分たちがやりたいことをすり合わせていったら、今みたいな感じになったかなって思ってますね。
──ベリーグッドマンといえば、3声のハーモニーの美しさもありますが、それも流れのなかで自然に生まれたものなんですか。
Rover:そうですね。初めて作った「コンパス」がアカペラはじまりなので。それで3声で、一回ハモってみようかっていうところからでしたね。無理だろうと思っていたんですけど、それが気に入っちゃって。そこからやらざるを得ないみたいな空気にはなったんですけど。かといって、コーラスグループではないので。基本的にはメッセージとメロディを聞いて欲しいなっていう感じでやってきましたね。
──そうだったんですね。DISH//はいろいろと変化があったという話がありましたが、今、自分たちではどういうバンドだと思いますか。
北村:はじまりは僕ら、エアーバンドだったんですよ。
MOCA:へええ。
北村:完全に演奏もできなかったし、“ダンスロックバンド”っていう新しいものをやるっていうので、楽器を持って踊って、踊りづらいから、楽器も子ども用の小さいやつに変えた時期もあったり(笑)。そういうことを経て、大智も入ったことで、バンドとして新しい道に進んでいっている感じなんです。だから、さきほどおっしゃっていた、お客さんと自分たちのやりたいことのすり合わせっていう、その最中なのかなという気がしていますね。各々好きな曲があって、でもDISH//としてまとまると、例えば壮大なロックど真ん中の曲があったり、ポップでかわいい曲があったり。いろんな曲をやれるのがDISH//なのかなって思っています。
──ダンスも自分たちで考えていたんですか。
北村:考えていた時期もありましたね。黒歴史ですね(笑)。
橘:たしかに(笑)。
MOCA:エアーバンドのときは、自分たちでエアーバンドって言ってたんですか。
北村:最初は言ってましたね、堂々と。
橘:本当にギターも弾かないで、弾いてるフリもせず、持っていただけなんです。
──そこから、実際に弾けるように猛練習していくんですか?
北村:バンドを結成して初めてギターに触れるとか、ベースに触れるとか、柊生はDJをやるとかだったんです。そこから練習をはじめて、段々とライブでも生演奏をする曲数が増えていって。2016年に、ちゃんと演奏しながら歌って踊る「HIGH-VOLTAGE DANCER」という曲ができて。
Rover:先にバンドをやるって決めてからどんどん追いついていったわけですね。すごいな。
──それはがむしゃらにもなりますね。橘さんは、DJは誰かに教わったんですか。
橘:最初は本当にDJってどういうものか何もわからなくて、よくアニメとかでみるような、こういう感じ(スクラッチ)しか知らなかったんです。でも、もともとストリートカルチャーやヒップホップがすごく好きだったので、DJも絶対好きになるなって思って、いろいろ自分で調べながらやっていたんです。そしたらどっぷりとハマりましたね。DJにもいろいろあるんですけど、僕が最初に始めたのがバトルDJっていうスクラッチのDJからはじめたので。その面白さとか、いかにそれをバンドの中に入れていくかを考えながらやるのが、楽しかったんです。
──泉さんはドラマーとしてリスペクトする人はいますか。
泉:僕はレッドホットチリペッパーズがすごく好きで、レッチリのチャド・スミスというドラマーはずっと好きで、動画とかも昔から見てますね。体格が全然違うので、さすがにそのままマネることはできないので、できる範囲でというのはあるんですけど。シンバルの止め方とか、そういうのは引き出しとして技を盗もうというのはありますね。
──北村さんはギタリストとして目指す人はいるんですか。
北村:ギターのカッティングがすごく好きだったので、例えばダフトパンクの「Get Lucky」みたいな曲を聴いていると心地いいし。自分は小中学校でダンスをやっていて、マイケル・ジャクソンとかから入って、高校生でやっとバンド・サウンドにどっぷりといったので。3ピースで、下手くそだけどがむしゃらに演奏するとか、そういうのにずっと憧れてライブも見にいったりしてましたね。アコギ一本でやるような弾き語りのライブにも行ったりしたし。どちらかというと僕はボーカル主体なので、ギターに乗っかっていく言葉の熱量とか、そういう人の方がよく見ているかもしれないですね。
Text:吉羽さおり
Photo:高田梓